「食品添加物=危険性」は間違い?無添加の落とし穴とは!?

[公開日]

[最終更新日]2017-08-19

    [vc_row][vc_column][vc_column_text]「食品添加物=危険」というイメージがあります。本当にそうなのでしょうか?食品添加物は食品の品質や安全性を保つものでもあります。逆に無添加と書かれたものの方が危険とういこともあります。食品添加物とはどういうものなのか?無添加とは何を意味しているのかを理解することが大切です。[/vc_column_text][/vc_column][/vc_row][vc_row][vc_column][vc_column_text]

    概要

    食品添加物の安全性について

    [/vc_column_text][vc_column_text]食品添加物とは厚生労働省が安全と認めたものです。

    食品衛生法では、「『食品添加物』とは食品の製造過程で、または食品の加工や保存の目的で食品に添加、混和などの方法によって使用するもの」と定義されています。

    以前の法律では、合成添加物だけが食品添加物に指定されていたのですが、現在では「天然」、「合成」の区別なく食品添加物として認められています。たとえば、昔から着色のために使われてきたシソの葉やクチナシなどは、現在はエキスにして食品添加物の着色料として使用されています。
    日本では、加工したり、保存したり、味をつけたりするときに使う調味料、保存料、着色料などをまとめて食品添加物と呼んでいます。もちろん、安全性とその有効性を科学的に評価し、厚生労働大臣が認めたものだけが食品添加物として使用できるように決められています。

    食品添加物の指定及び使用の基準改正に関す基本的な考え方(厚生労働省)

    (1)安全性が要請された使用方法において実証又は確認されること
    (2)食品添加物の使用が、次のいずれかに該当することが実証又は確認されること
    ①食品の栄養価を保持されるもの
    ②特定の食事を必要とする消費者のために食品の製造に必要な原料又は成分を供給する
    ③食品の品質を保持し若しくは安定性を向上するもの又は味覚、視覚等の感覚刺激特性を改善するもの
    ④食品の製造、加工、調理、処理、包装、運搬又は貯蔵過程で補助的役割を果たすもの

    -参考-
    厚生労働省ホームページ「食品添加物」
    URL: http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/index.html

    厚生労働省ホームページ「食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針について」
    URL: http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syokuten/960322/

    安全性、そして有効性が科学的に認められているものを使うということが食品添加物を使う上での基本的要件になります。有効性とは、その食品添加物を使うことで、食品の品質保持や食品の製造に役立つといった効果が実証され、消費者に利益がもたらされることが当てはまります。
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    食品添加物の役割

    食品添加物には、さまざまな役割があります。たとえば、女性や子供たちが大好きなゼリーやプリンなどのデザートにも、おいしさを演出するために食品添加物が欠かせません。香りをつける香料やぷるんとした食感をつくるゲル化剤、滑らかな舌触りをつくる安定剤など、色、香り、食感を加える大切な役割を食品添加物が果たしています。

    さらに、食品を長持ちさせる働きも、私たちの生活をより便利に、より豊かにするには欠かせない食品添加物の役割のひとつです。肉や魚などの生鮮食品は日持ちがしません。このため、保存料や殺菌剤などの食品添加物によって食品を長持ちさせ、おいしくムダなく食べることができます。たとえば、練り製品の原材料となる魚は、水揚げされたその場で食品添加物を加えて、すり身に加工します。すり身は冷凍保存することで、遠方にある工場まで運ばれ、かまぼこやちくわ、はんぺんなどにさらに加工することができます。肉の場合は、ハムやソーセージに加工されるときに、おいしい色を保ち、腐らないようにするために食品添加物が働いています。

    では、食品添加物がなかったら私たちの生活はどうなるでしょうか。家庭やレストランなどと違って、加工食品の場合、日持ちや製造適性、コストなど多くの要素を実現しなければなりません。このため、食品添加物を上手に使用しないと、ハムやソーセージ、すり身などは、すぐに腐ってしまい食中毒の危険性が高まります。ゼリーやプリンも独特の食感もなく舌触りもざらっとしてしまい、パンやクッキーはふくらまずにパサパサ、かまぼこなどの練り製品はグチャッとして歯ごたえが低いものになります。食の安全が保てなくなってしまうだけでなく、毎日の食生活が味けなくなってしまいます。[/vc_column_text][vc_empty_space height=”30px”][vc_column_text]

    食品添加物の安全性

    食品の安全を守るためには、食品添加物の量が重要になってきます。
    例のひとつとして、私たちが毎日、調味料として使っている塩をみていきましょう。極端なたとえですが、一度に200グラム以上の塩を摂取すると死んでしまいます。また、みなさんもよくご存じのように、毎日、10~20グラムの塩を食べ続ければ脳溢血(のういっけつ)や心臓病のリスクが増えてしまいます。すると塩は毒か?というと、そうではありません。一日に7グラム以下であれば、一生のあいだ毎日食べ続けてもなんの害もありません。どんな食品でもたくさんとれば毒ですが、量が少なければ何の悪影響もない。その摂取する量で安全かどうかが決まります。

    では、安全な量はどのように決めているのでしょう。食の安全の世界では、まず「無毒性量」というものを決めます。添加物を使う量をどんどん少なくしていくと、何の毒性もないところに行きつきます。ラットやマウスなどを使った何種類かの実験を通して、何の害もない安全な量を決めます。これが無毒性量です。そして、この無毒性量の100分の1の量を「一日摂取許容量(ADI)」として、人間が一日に安全に使える量として定めています。これは一生、毎日食べ続けても健康に影響のない量で、食品添加物のほか、残留農薬の基準値にもなっています。

    「食品添加物=危険」とうことは科学的に間違っているということです。[/vc_column_text][vc_column_text]syokuhintenkabutu01[/vc_column_text][vc_column_text]

    「無添加=安全」はイメージにすぎません

    「無添加」食品とは、人工保存料などの食品添加物を使っていない食品のことです。
    多くの方は、「食品添加物は健康に悪影響を及ぼす悪いものだろうから、食品添加物を使っていない『無添加』食品は、安全でよいものに違いない」というイメージになっているのではないでしょうか。そこまではっきり認識していなくても、「食品添加物=危険、無添加=安全」と思っている方は多いと思います。

    しかし、実際は違います。
    そもそも、日本は食品衛生法の下、食べて健康被害にあうようなものは流通させてはいけないことになっているので、日本の食の安全は確実に守られていると言っていいのではないでしょうか。 日本では、毎年食べたものが原因で亡くなる人が10人弱ほどいますが、いずれもフグ毒や毒キノコを間違って食べたことによる自然毒の中毒死だけです。食品添加物によって亡くなる人は、世界中を見渡しても、これまでに報告された例がありません。

    また、「食品添加物は食べてすぐ死ななくても、長年食べているうちに蓄積してがんになったりするのでは?」と思われている方もいるかもしれませんが、これも違います。やはり食品衛生法に基づき、食品添加物は動物実験などによって発がん性や遺伝毒性などを調べ、科学的に安全性を確認しています。さらには使う量が決められており、厳格に管理されています。

    食品添加物の安全性でも説明したように、一生食べ続けても身体に影響のないことが確認されています。例にあげた食塩のよう、食品添加物と比較すると、普通に食塩を大量に使っている食品の方がよっぽど危険です。食品添加物は食塩よりも、よほど安全なのです。[/vc_column_text][vc_column_text]

    「無添加=危険」という可能性のほうが高い

    食品添加物である保存料は食品の腐敗や変敗を防ぎ、食中毒のリスクを下げるという役割があるので、保存料を使わなければ、逆に食中毒のリスクを高めることにもなります。保存料を使わなければ、安全に流通させることすらできない食品もあります。また、保存料を使わなければ、食品が早く腐敗するため廃棄量も増えて、経済的にも好ましくありません。

    ところが、企業は「安全のために保存料を使用しています」という説明を、消費者には積極的にしていません。消費者は保存料などの食品添加物には漠然とした不安を感じているので、そうした消費者に「これは無添加ですから安心してください」と逆の説明をしたほうが、支持が多く得られるからです。

    企業が「無添加」商品をたくさん出せば、消費者は「無添加」商品を多く目にするので、「添加物は悪いものだから無添加を強調しているに違いない」と誤解を深め、ますます「無添加」を求めることになります。こうして、消費者にとって「無添加」という言葉だけが1つの商品価値として確立し、その価値を訴求する「無添加」マーケティングが食関連事業者の有効な販促策として定着してきたのです。

    しかし、無添加表示には行政で定められたルールがありません。「保存料不使用」と表示しながら、それ以外の添加物で代替している場合があることを知らない消費者も多いのではないでしょうか。実際のところ、食品添加物のかわりの、どんな物が使われているのかわかりません。「無添加」や「保存料不使用」と書かれているだけで「体にいい食品」と誤解しているかたも少なくないと思います。「無添加」の方がかえって危険性が高い可能性があるということです。

    食品添加物が入った食品より無添加食品の方が安全という考えに、科学的な根拠は何もありません。私たち消費者が「食品添加物=危険」と決め付けてしまったり、「無添加=安全」と信じてしまうことが、紛らわしい表示をつける企業の行動を助長してしまったのです。

    何が無添加なのか、かわりにどのような成分が使用されているのかを自分で確認することが大切です。[/vc_column_text][vc_empty_space height=”30px”][vc_column_text]

    暮らしの中で必要な食品添加物

    食品を製造又は加工時に必要なもの
    製造時の泡立ちをおさえてたり、pHを調整したり、型崩れをしやすくするために使用
    →消泡剤、pH調整剤、離型剤

    食品の形を作ったり、独自の食感を持たせるために必要なもの
    豆腐、中華めん、マーガリン、プリンなど、食品の形成や独自の食感をもたせるために使用
    →豆腐用凝固剤、膨張剤、かんすい、乳化剤、ゲル剤、安定剤

    色でおいしさを演出するために必要なもの
    色は美味しさを演出するひとつの手段。着色したり、脱色するために使用
    →着色料、発色剤、漂白剤

    味と香りをよくするために必要なもの
    食品に甘味や酸味あるいは香りなどを加えるために使用

    ・甘味料・・・食品に甘味を加える
    ・酸味料・・・食品に酸味を加える
    ・苦味料・・・食品に独自の苦みを加える
    ・調味料・・・食品にうま味を加える
    ・香料・・・食品に香りを加える

    食品の栄養成分を補うために必要なもの
    調理や加工をするときに、原材料が持てる栄養分がなくなったり、減ったりするのを補てんするために使用
    →ビタミン、カルシウム

    食品の品質を保つために必要なもの
    食品の腐敗や油脂成分の酸化を防ぐために使用

    ・保存料・・・食品中の微生物やカビの繁殖を防ぐ
    ・酸化防止剤・・・油などの酸化による変質を防ぐ
    ・防カビ剤・・・主に柑きつ類に使用。果物でのカビの発生を防ぐ
    ・日持向上剤・・・食品の品質を保つ
    ・殺菌剤・・・加工食品の製造に先立って原料に付着している微生物を殺菌・除去[/vc_column_text][vc_column_text]

    人間の知恵から生まれた食品添加物

    大昔から人間は、食品を長持ちさせるために知恵をしぼってきました。野生の木の実や魚などを食べていた狩猟採集時代、遠方に狩りに行くときなどは、肉を天日で干したり煙でいぶして加工していました。また、海の近くでは塩漬けするという方法も、昔から使われてきた人間の知恵です。こうした食生活の工夫の中から生まれてきたのが、食品添加物です。人間は昔から、食品を着色したり保存するために、自然界にあるものを食品添加物として使っていたのです。

    日本では梅干を漬けるとき、シソの葉で着色してきましたし、豆腐を作るときにも「にがり」を使ってきました。また、西洋では肉を保存するとき岩塩を使ってきました。保存性が高まるだけでなく、肉の色や風味も高まることも経験的に知っていたわけです。

    その後、人工的に食品添加物を作るようになったのです。例えば、岩塩がなぜそうした効果を発揮するのか調べてみると、岩塩に含まれる硝酸という物質が、肉汁の中の微生物により亜硝酸になることが分かりました。そこで、人工的に作った亜硝酸塩を使うようになったというわけです。その技術を応用して、ハムやソーセージなどの色や味をよくする亜硝酸ナトリウムという物質も使われるようになりました。人工的な食品添加物が使われるようになった背景には、純度の高い物質を合成できるようになったという科学の進歩があります。

    無添加という言葉に惑わされずに、食品添加物のことをしっかりと理解したうえで食品を選ぶことが本当に大切なことなのです。
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