子どもの肌を紫外線から守れ!最低限の日焼け対策

[公開日]

[最終更新日]2021-08-27

    夏休みもあと少し。熱中症警戒アラートが連日発令されるなど、冷房をかけていても暑い日々で、今年は湿気も手伝って不快指数はMAX状態。

    そんな中、毎日外へ遊びに出かけ、汗だくで帰ってくる我が子を見ると、「あれ?日焼けで黒くなってない??」と、気になってしまったお母さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

    大人であれば、日焼け止めクリームを塗ってから外へ出かけるでしょう。

    しかし、子どもは気にしていません。親が仕事で家にいない場合はもちろん、居たとしても、こちらが塗ってやらない限り、自分から日焼け止めを塗って出て行くなんてことはありませんよね。

    昔は子どもは外で元気に遊んで、真っ黒に日焼けするのが健康的!といった風潮でした。 しかし、今はそうではありません。 紫外線には有害物質が含まれており、DNAを傷つけてしまうこともわかっています。 将来、子どもたちが健康に過ごせるよう、どう気を付けていけばよいのでしょうか。

    この記事は約7分で読めます。

    概要

    油断大敵!紫外線のこと

    夏になると、テレビなどでは日焼け止めのCMが流れたりするので、「紫外線」という言葉を知らない方はあまりいらっしゃらないでしょう。 しかし、この「紫外線」って一体何なのかご存じでしょうか。

    紫外線は、私たちにとって非常に身近なもので、カルシウムを代謝する際に重要な役割を果たすビタミンDを、皮膚で合成するために必要です。しかし、浴びすぎると日焼けやシミ、しわの原因となるほか、将来腫瘍や白内障などの病気を引き起こすこともわかっています。 春先から増え始め、5月頃~10月頃まで、日差しが強くなるにつれて紫外線が多くなります。

    「紫外線」とは、日焼けや皮膚の病気の原因になると考えられている、強いエネルギー持った太陽光線に含まれているものことを言います。この光線は、人間の目には見えません。 この太陽光線のうち、5%が紫外線、50%が可視光線で、残りが赤外線です。 紫外線は、波長の領域とそれに伴う性質によって、A、B、Cの3つにわけられます。

    C領域紫外線は、空気中の酸素分子とオゾン層などに遮られ、地表には届きません。 B領域紫外線も同様にオゾン層などに遮られ、地表に届く量が減りますが、完全には遮られません。A領域紫外線は、UV-BやUV-Cに比べて影響は小さいですが、その多くが地表まで届くため、長い時間当たると肌などに影響があることが懸念されています。

    参考:環境省「紫外線 環境保健マニュアル」より

    紫外線によるヒトへの影響

    昔は日光に浴びることが良しとされていましたが、多くの研究によって紫外線を浴びすぎると人の健康に影響があることがわかりました。 皮膚には、紫外線から身を守る仕組みが備わっています。 最も強力な光線防御は皮膚にある色素細胞が作るメラニン色素です。メラニンは、紫外線、可視光線、赤外線を吸収し、DNAへのダメージを少なくしてくれます。

    私たちが浴びている紫外線のうち、UV-Bは量は少ないとはいえ、皮膚の細胞のDNAに傷をつけてしまう性質があります。 この紫外線の皮膚への影響は、太陽に当たってすぐに現れる急性傷害と長年にわたって当たり続けることで現れる慢性障害に分けられ、その他、免疫機能の低下や光線過敏症などがあります。

    <急性障害>

    紫外線を浴びることで皮膚に炎症が起こり、真っ赤になって痛い日焼け(sun burn:サンバーン)と、その後に続く黒っぽくなる日焼け(sun tan:サンタン)があります。 サンバーンは、日光に当たって数時間後から赤くヒリヒリとした炎症が起こり、8時間から24時間でピークとなり、2~3日で消えます。 一方サンタンは、日光に当たって数日してから肌が黒っぽくなったり、数週間から数ヵ月続きます。紫外線で色素細胞が刺激され、メラニンをたくさん作るために起こります。

    参考:環境省「紫外線 環境保健マニュアル」より

    <慢性障害>

    長年日光を浴びていてることで、皮膚のシミやしわ、腫瘍などが現れてきます。 高齢者の顔や手の甲に見られるものは、一般的に加齢による老化だと思われがちですが、をれだけでなく、紫外線の慢性障害によって起こる光老化の結果でもあります。 皮膚の腫瘍には、良性のもの(脂漏性角化症)と悪性のもの(皮膚がん)があります。

    <免疫機能の低下>

    紫外線は皮膚の細胞を傷つけ、局所の免疫を低下させます。紫外線によって免疫力の低下が繰り返されると、慢性障害の発生増加にも繋がることとなります。

    <光線過敏症>

    色白の青年・中年女性の腕などに、初夏の強い日差しにさらされることにより起こる発疹のことで、皮膚が紫外線に対応できないために起こります。ごく稀に、小児期より皮膚がんが多発する先天性光線過敏症というものもあります。

    肌だけじゃない。目にもよくない紫外線

    紫外線というと、皮膚に対する影響だけを気にしがちですが、実は目にも悪影響を及ぼします。波長が280㎚以下の光は、眼球表面の角膜で全て吸収されます。 長時間、目に紫外線が入っていくことで、角膜が炎症を起こし、目の痛みや充血などの症状が現れます。そのダメージが蓄積されると、目の細胞を破壊してしまうことにも繋がり、その結果、白内障や視力の低下が起こることもあります。 そのため、強い紫外線が入るおそれがある場合は、サングラスやゴーグルをするなどの対策が必要です。 誰でも購入することができる、ジェルネイル用のUVライトも紫外線なので、直接のぞき込んだりすると目を傷つける恐れがあります。自宅で使用していると、気になって子どもが近づいてきたりするかもしれませんが、気を付けて使用したいですね。

    子どもの肌のメカニズム

    子どものターンオーバーは大人と周期が違う

    ターンオーバーとは、表皮や角層などで起こる細胞の生まれ変わりのことです。 表皮の一番奥にある基底層から、新しい皮膚細胞が生成され、それが上へと押し上げられて肌の表面へと出てきます。 それが、垢や古い角質として剥がれ落ち、新しい細胞へ入れ替わっていく、これが繰り返し行われていきます。 基底層で生まれた細胞が角層に至るまでに約4週間、角質にとどまり角層剥離するまでに約2週間かかり、合計6週間で肌が生まれ変わるのです。 ターンオーバーのサイクルは、赤ちゃん~10代で28日、30代で45日、40代で60日と、年齢が上がるにつれ時間がかかります。 子どもは、表面の皮脂膜が薄く、角質層のセラミドや天然保湿因子のアミノ酸が少ない上に、ターンオーバーの周期が短いために、バリア機能が働きにくくなっています。

    日焼けを放っておくと…

    外でたくさん遊ぶ子どもたち。それだけでなく、登校で朝から日光に照らされる毎日を送っていますよね。 外から家に帰ってきても、ちょっと顔が赤くなってるな…くらいにしか思わず、特に何もしていないという方は多いのではないでしょうか。

    日焼けの原因となる紫外線を浴びると、肌の内部ではメラニンが大量に作られます。黒い色素で紫外線を吸収し、真皮への侵入を防ぎ、ダメージから細胞を保護しているのです。 「メラニンはよくない」というイメージがありますが、実はメラニンは肌細胞を紫外線から守ってくれるために出来るものだったのです。

    紫外線が表皮に入り込むと、色素細胞のメラノサイトに信号が送られ、メラニンという色素を生成します。表皮の一番下にある基底層で生まれた表皮細胞が徐々に上へ押し上げられ、メラニンも細胞と共に上がってくるので、皮膚がだんだんと黒くなったように見えるのです。そして、最後は、角質層まで押し上げられ垢や古い角質となって剥がれ落ちるため、通常であれば、約1ヶ月で黒い色素は消えていきます。

    しかし、肌のターンオーバーがうまく機能しない場合、大量のメラニンが肌の内部に留まってしまいます。長時間紫外線を浴びることでも、メラニンの生成が活発になり、ターンオーバーが追いつかなくなってしまいます。 滞留したメラニンは、子どものうちはあまり表に出てきませんが、将来大人になった時に、シミとなって現れるのです。

    正しいケアと対策で子どもの肌を守ろう

    子供時代に日焼けを何度も繰り返すことで、大人になった時に、シミとなって現れるなんて、何とも怖い話ですが…。 事前の対策で、このメラニンの生成は抑えることができます。

    これだけはやってみて。最低限の対策。

    日焼けをしてからお肌のお手入れをしても、皮膚の老化や皮膚ガンなどの長期的な予防効果は少ないとされています。 健康への悪影響の予防には、紫外線を浴びすぎないということが重要なのです。 紫外線の影響は、個人や地域によって異なりますが、状況に応じて対策を行うことが効果的でしょう。 また、子どもは自分で判断ができないので、大人が気にかけてやることが大切です。

    〇 紫外線の強い時間帯を避ける

    紫外線は、正午前後(太陽が最も高くなる時)に最も強くなるので、この時間帯は戸外遊びはやめた方がよいでしょう。

    〇 日陰を利用する

    日陰は、直接太陽が当たらないので紫外線の量が少なくなっています。 しかし、紫外線には太陽からの直射日光だけでなく、空気中で散乱したものや、地面や建物、水面などから反射したものもあります。直射日光の方がより紫外線は強いですが、日陰であっても要注意です。 公園や海には、簡易テントを用意していくのも良いですね。(テントを禁止している公園などもあるので、事前にチェックが必要です)

    〇 傘や帽子を使う

    日差しが強い時に外出する時は、日傘や帽子も利用するようにしましょう。最近では、紫外線の防御機能を高めた日傘もあるようです。子どもの場合は帽子を使用する方が多いと思いますが、幅の広いつばがあるものの方がより効果的です。

    〇 長袖で覆う

    UVカット機能のある長袖のパーカーなど、体を覆う部分の多い服を着ることで、紫外線から肌を守ります。生地を透かして太陽を見てみた時に、透けて太陽が見えるものは、皮膚に到達する紫外線が多くなるのでオススメしませんが、夏場は暑く、通気性が悪いと熱中症になることもあるので、そのあたりも配慮した上で選びたいですね。

    この他、子どもにはなかなか難しいのですが、目を保護するためにもサングラスをかけるといった対策も重要です。

    日焼け止めは子ども用を使って

    もちろん、日焼け止めを使用することも十分に効果があります。 しかし、大人用の日焼け止めには紫外線防止剤として、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤などが入っています。紫外線乱用剤は、「塗っても白くならない」効果がありますが、アレルギー反応を起こすこともあるものです。 子どもに使用する日焼け止めは、「紫外線吸収剤フリー」や「ノンケミカルサンスクリーン」などの表示がされているものを使う方がよいでしょう。 なお、紫外線散乱剤は少し白く見えますがアレルギーを起こすことはほとんどありません。 最近では、クリームタイプだけでなく、手を汚すことなく塗れるスプレー式の日焼け止めも販売されています。

    日焼け止めをしっかり塗って外出したとしても、手や衣類に触れたり、汗をかくことで自然に落ちてしまいます。 少々面倒ではありますが、日焼け止めの効果を発揮するためには、2~3時間おきに塗り直しをすることをオススメします。 腕だけでなく、脚や首元、顔にもしっかり塗りましょう。

    日焼けしてしまったら

    どんなに事前に対策をしていても、全く日に焼けないというのは難しいでしょう。 肌が日焼けをするということは、肌が「やけど」をしているということ。 何よりも早急な処置が必要で、しっかりと日焼け後のケアをすることで、白い肌に生まれ変わることができるのです。 対策を行った上での日焼けは白い肌に戻りやすいですが、そうでないと、白い肌に戻るのに時間がかかったり、薄い小麦肌程度にしか戻らないかもしれません。 そうならないために、ケアをしっかりしてあげましょう!

    日焼けをした直後、肌が赤くなっている時はヒリヒリしているのではないでしょうか。 感覚が治まるまで、しっかり冷やしてあげましょう。炎症が治まれば、子どもが使用しても大丈夫なビタミンC誘導体配合の化粧水などをたっぷり使って、優しくケアします。

    あとは、皮膚の回復を早めるために、栄養のあるご飯を食べて、睡眠をたっぷりととること!これがなかなか難しいことではありますが、早く寝て、成長ホルモンを分泌させるのを促すことで、肌の修復を早めることができるのです。

    子どもも使える化粧水

    遊びに夢中な間は、日焼けの痛みに気がつかず、汗をかいてタオルで拭いた時や、家に帰ってきてからヒリヒリ痛い!と気になってしまうお子様も多いことでしょう。 先程、日焼けをした直後はしっかり冷やしてケアを…とお伝えしましたが、ケアする為に用いるものは何でも良いわけではありません。 子ども用の化粧品なんて、普段は用意していないでしょうし、自分が使っている化粧品を使えばいいか…と大人用の美白化粧水を使ったら、刺激が強すぎて逆に痛みが倍増したなんてことも。 子ども用の化粧水というと、いわゆる赤ちゃんがお風呂上りのスキンケアに使えるものが主流です。 小学生の子どもが使う場合、わざわざ赤ちゃん用を用意するのも…と思いますよね。 大人が使う化粧水全てが、「子どもに使えない」というわけではありません。 無添加のものだったり、子どもにも使えますと書いてある化粧水もたくさんあります。 日焼けをすると、ほてった肌を冷やすために、ひんやりしたつけ心地の化粧水などを使いたくなりますが、子どもには保湿たっぷり潤いが続く発酵化粧水がオススメです。

    日本酒(コメ発酵液・保湿成分)を配合した化粧水は、お肌のターンオーバーを促進してくれます。乳酸の発酵によって生まれるアミノ酸が、肌本来の力を引き出し、角質の状態を整えてくれるのです。 昔、化粧品がなかった時代は、化粧水として日本酒が使われていたんです。日本酒はお肌のケアの原点なのですね。 発酵化粧水には日本酒が配合されていますが、お子様が使っても問題ありません!

    子どもの将来のためにできること

    「日焼け=悪」というわけではありません。 日焼けして、すぐに黒くなったということは、ある意味子どもの肌の機能が正常に働いているということです。紫外線に対してのバリア機能がきちんと働いているから、肌が黒くなってそれ以上肌の内側へ紫外線が入り込まないようにしてくれているのです。

    しかし、焼けすぎると将来に悪影響を及ぼすことも事実です。 私たちが子どもに出来ることは、「焼けすぎないようにする」ということです。 特に、色白ですぐにサンバーンを起こすけれど、サンタンを生じにくい人は、紫外線の影響を受けやすく、性別では女子より男子の方が紫外線に弱いとされています。

    お子様のお肌を守るには、帽子や日焼け止めなどを上手く活用するなどの日焼け対策をきちんと行うことが大切です。 外へ遊びに行こうとするお子様に、今一度声をかけてあげてください。 「帽子はかぶった?」「日焼け止め塗ってから行こうね」と。 もちろん、水分を持って行くのも忘れずに…。

    近年では異常気象で高温多湿な日が増えており、学校でも暑さ指数(WBGT)が31を超えると、外で運動などをするのを中止したりしますが、あまりにも暑い日は、外で遊ぶのをやめて、室内で遊ぶようにするのも、日焼けや熱中症の観点からはよいかもしれませんね。